【私の趣味】 [鳥取県医師会報に掲載された文です。]
♪ 新 人生ミュージカル ♪
1964年封切りのミュージカル映画「メリー・ポピンズ」は、テレビとビデオでしか体験していない。「チム・チム・チェリー」で知られるこの映画 には、絵の中に、主演のジュリー・アンドリュースたちが入っていくシーンにおいて、人物と動画がミックスされており、1964年時としてはあまりにも画期的な手法に、今でも驚きを感じる。
NHKテレビで放映された「メリー・ポピンズ」をビデオに録画したのは何時のことであったろうか?
幼児であった男の子を含めて、子どもたちが、繰返し、繰返し、飽きることなく見入っていた。そうした様子を見ていて、小児科医としての夢も、この映画の中にあると気づいた。
あれこれとしつけられつつ、一方で、勉強をせず、悪戯を叱られる銀行員一家の姉弟と、そして、子ども達の本音を聞かないでいる両親。ポピンズが繰広げる魔法の世界、それは、子どもたちが抱き続けたい夢の世界。「メリー・ポピンズ」は映画でこそ、実現可能な夢の世界といえる。そして、近年のディズニー映画「美女と野獣」もアニメゆえに可能な世界と見ていた。「いつの世も変わらぬは 恋心 心奪う 突然に」と、ポット夫人が歌うナンバーも素敵で、子どもといっしょに、小児科医得意の子供心で見入っていた。
それが何と、ディズニー初挑戦のブロードウェイ・ミュージカルになり、大ヒットしたという。わが国でも劇団四季ほか、契約交渉に入ったようなのだが、結果的に、劇団四季が契約を交わした。そして、わが国初のこととなったが、東京・大阪同時に2会場でのロングランとなったのです。当分は、急に上京・上阪が 決ったからとてチケットの入手が適うはずもなく、あきらめ、情報を読みこなす程度でしたが・・・。
1996年の春、地元の旅行業者が企画したこのB&B観劇ツアーに申込が少ないとのの情報を受けて驚いた。結局は知人にも勧めたりして、小生も家族と連れだって体験したのが5月3日でした。
アニメ以上のエンターテイメント!
とくに、圧巻は「Be our guest !」で、魔法により蝋燭にされてしまった料理長のルミエールがビューティ・美女を招いたディナーの場面。お皿やナプキン、スプーンやフォークなど、アレコレと台所用品をイメージした衣装で、歌い踊りつづける・・・。「百聞は一見に如かず」で、下手な解説は止めましょう。目を見開いて舞台を見続け、いつしか幸せな気分に浸ることまちがいなし。性別、年齢を超えて十分に楽しめます。
アニメの世界はアニメゆえで、舞台で人間が扮して歌い踊るなどとは、創造もしなかったのですが、「ライオンキング」も同様でしょう。米国ブロードウェイでは、既に、大人気でロングランに入っており、ステージや衣装の斬新さが話題を振りまいているという。わが国では、前述の劇団四季が契約し、今冬に、東京浜松町に新設された四季専用劇場で、12月20日からロングランに入ることが決定している。アニメ「ライオンキング」は、手塚治虫の「ジャングル大帝」の盗用であろうとされているが、さて、舞台は、どのような出来映えでしょうか?
翻って、鳥取県民文化会館は開設5周年を迎えた。記念企画の県民によるミュージカル「茜 飛天~鳥取地名伝説~」が、ライオンキングの本邦初演の日、12月20日に上演されることが決定している。
物語のキーワードは、天女、羽衣伝説、鳥取の地名にまつわる話などで、親しみやすい。既に、台本読みが2月から始まっており、着々練習が重ねられている7月半ばになって、縁というか、出会いというのか、ヒョンなことから、小生に、出演依頼がきた。予定していた方が、急遽出演できない事情が発生したとのことで、交代者の依頼が必須な状況とかで・・・。
で、何故、小生なのか、自身にも分らぬのだが、かつ、予定された練習日程の半分程度もこなせないのが分っているが、「それでも良いから」とのこと。得体の知れないお爺さん的な役なのだが、台本を見ると、結構重要な位置を占めている。超能力を有する仙人のような役だ・・・。
通勤の車中で、小さな個室に座した時間に、その他、暇な時間を見出して、その気になって、物語の流れ、台詞、メロディーを覚えましょう。演出家、振付さんに任せて、役作りをして行くことになりましょう。
今年、年男・寅年の小生。一度しかない、人生だもの、流れに乗ってみるのも面白いのかも知れない。わが人生、何と夢のミュージカル出演が実現することになるとは・・・。そう、気分は、わが人生・ミュージカル。